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点検評価と課題 分子研リポート2002 | 分子科学研究所

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4.点検評価と課題

分子科学研究所は,1993年から3年毎に外部評価委員による点検評価を行い,その報告が分子研リポートに掲載さ れている。本年度は第4回の外部評価が,5研究系,流動部門,分子制御レーザー開発研究センター,錯体化学実験 施設及び統合バイオサイエンスセンターに対して実施された。分子科学の指導的立場にある2名の外国人研究者が,多 忙な時間を割いて岡崎を訪れ,数日のインタビューによって的確な評価をされたことに篤く感謝する。研究の第一線 で活躍されている,国内の著名な研究者による外部評価でも,分子研が四半世紀以上の歴史を持つ現況,及び法人化 を目前に控えた将況を踏まえ,共同利用研究機関としての在り方を含め,多くの貴重な御批判,御意見をいただいた。

国内外いずれの評価においても,分子研での現在の研究水準については,高い評価が与えられている。分子科学の 発展の指導的役割を果たす意味で,さらに野心的,意欲的な分野開拓型研究を期待する声が大きかったことが印象に 残る。このためにも,分子研の研究者が,所の内外と協力して発展的な研究を行うことが重要である。

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4-1 理論研究系

国内評価委員会開催日:平成14年12月22日

委 員 北原 和夫 (国際基督教大理,教授) 樋渡 保秋 (金沢大理,教授) 諸熊 奎治 (エモリー大化,教授) 永瀬  茂 (分子研,教授) 中村 宏樹 (分子研,教授) 平田 文男 (分子研,教授)

岡崎  進 (岡機構・計算科学研究センター,教授) オブザーバ 岡本 祐幸 (分子研,助教授)

谷村 吉隆 (分子研,助教授) 米満 賢治 (分子研,助教授)

4-1-1 点検評価国内委員会の報告

(1)理論分子科学の日本における役割

分子科学における理論の重要性は今や言を待たず,化学,物理,そして生物をもカバーする広い領域で不可欠のも のとなって来ている。それにも拘わらず,依然として日本を代表する東京大学と東京工業大学の理学部化学科に理論 の講座が無いことは,実に憂うべき現象である。過去における本点検評価において,毎回の如く国内外の委員から指 摘されているにも拘わらず,依然として改善の兆候が見えない。更に,日本の理学部化学における理論の幅の狭さは, 欧米の化学科における理論家の占める割合を考えると,先進国と呼ばれる国として誠に恥ずかしいことと言わざるを 得ない。この様な現状の中で,分子研の理論研究系の役割は大変大きい。

(2)分子研理論研究系のあり方

理論研究系は,理論化学のグループとしては日本最大であり,化学と物理の出身者が入り混じるユニークな集団と して,上記の様な日本の状況の中で,独自の発展をし,活躍していると評価して頂いた。外国の研究者にもその存在 は高く評価されている。日本の大学の変革を切に望むものではあるが,それと同時に,分子研の理論系はなお一層の 拡大・発展を目指しても良いのではないかとの意見が多く出された。これからは,今まで以上に世界に目を向け,世 界の理論 C OEとしての発展を目指すべきであると。同時に,アジアの若手の育成に努力を傾けるべきである。一方, その為には,現実の様々な課題を克服する努力が必要である。残念ながら,依然として研究スタッフの数が少ない問 題,ポスドクや大学院生など若手を強く引き付けるだけの待遇と魅力の欠如の問題がある。総研大に入学するために 改めて入学料を支払わなくてはならないこと,大学の21世紀 C OE プログラムによるポスドク確保の影響,基盤研究所 に比べて総研大の知名度が低い問題等などがある。理論系スタッフの一層の切磋琢磨も必要であろう。

(3)計算科学研究センターについて

計算科学研究センターが統合バイオサイエンスセンターの設立と共に岡崎機構の共通施設と位置付けられたが,そ の歴史及び現状の利用者の実績から,分子科学における計算科学の拠点センターとしての役割と責務に何らの変更が 齎されるべきものではない。勿論,分子科学を基盤としたバイオサイエンスとの境界領域における計算科学を支援し ていくことも一つの重要な使命である。いずれにしろ,全国に跨る幅広い分子科学の一般利用者への支援と共に,先 端的な大規模計算を行う利用者の支援を両立させていくことが求められる。前者に対しては分子科学計算に関する幅

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広いソフトの充実が必要であり,一方,後者については特別申請の枠組みを広げていく努力が必要であろう。いずれ にしろ,分子科学に特化した計算科学センターとしての発展が望まれ,その意味で世界のセンターを目指しても良い のではないであろうか。

(4)分子科学研究所の将来について

上記(2)でも述べたが,分子科学研究所は今や世界にあまねく知れ渡り,その知名度は抜群である。分子科学研究所 に招かれること,あるいは滞在することは,世界の分子科学者にとって箔のつく大変名誉なことと認識されるに至っ ている。その意味で,大学との連携を大切にして優れた人材を集め「高等学術研究機関」として益々発展すべきであ り,現在の国際的環境を一層高め世界の C OE となっていくことを願う。その為には,上でも述べた通り,色々な課題 を克服して行かねばならない。岡崎コンファレンスの正式復活,ポスドク制度の柔軟化,大学院生の無償奨学金制度 の確立(未来の科学を担う大学院生への生活支援が十分でないのは先進国として恥ずかしい限りである),内部昇進を 許さない分子研の人事制度の普及(大学の人事制度の改革が強く望まれる),真の C OE としての認知等など国がもっ と進んだ支援策を打ち出して欲しいものである。

4-1-2 国内委員の意見書

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員A 分子研の意義

分子科学研究所理論部門・電算機室は,日本の理論物理化学の中心として創設以来機能している。特に,分子研で 助手,助教授を経験した人々は,外の教育研究機関で活躍していることから,日本の理論物理化学をリードしてきて いると言える。理論化学と理論物理の境界領域を研究するところとしてユニークである。外部の大学となると,物理 学科か化学科となるので,教育する学生の傾向も異なり,また,同僚である教官の意識も,物理学科か化学科かによっ て違っているが,分子研ではそのバリアはない。欧米では普通であるのだが,統計力学,量子化学,原子分子物理な どは比較的隣り合わせの分野なのであるが,日本では分断されていた。そのような中で,分子研の存在意義は大変大 きいものがあり,現在では,大学でも,物理と化学のバリアは一般的に低くなってきているのではないだろうか。

人的交流

特に理論研究においては,人的交流は重要である。「分子科学研究所の概要」(「分子研リポート2001」p.45)による と,外国人研究者の数は,減少傾向にある。また,大学院生の数もトレンドとしては減少している。更なる活性化の ためには,特にアジア地域から優秀な若手研究者,大学院生を招聘して,世界の分子科学研究センターであって欲し い。アジア諸国でレクチャーを組織するなどして,積極的な若手のリクルート(広報)も行うと良いのではないか。

研究分野

現在の分野はバランスが取れていると思う。客員部門は,客員部門に来てくれる研究者のサバティカルとして常時 滞在できるように,早めに人事を決めておくのがよい。

「分子研リポート2001」にある岡本レポート(p.61–66)では,分子研が果してきた研究者の流動性について特記し ている。私も同感で大いに「分子研方式」を全国だけでなく,国際的にも広める必要がある。学術会議や学協会等で, もっと紹介されてよいと思う。教官のサバティカルについては,「行政的・教育的業務の免除」という意味でのサバティ

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カルは意味があると思うが,長期に分子研を空けるよりは,分子研における交流の実を上げるほうがよいのではない か,と思う。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員B a) 研究全般について

理論研究4部門(内客員1部門)で分子科学の研究分野を網羅するのは不可能であろう。各部門の教授,助教授が 独立して研究を行なうスタイルを実行していることを考慮すれば研究分野の数は倍程度となる反面,各研究グループ が小規模になる欠点を合わせ持つことになる。教授と助教授が協力して実質一つのグループを形成し,より大規模な 運営の下でプロジェクト研究を遂行できる選択肢もあってもよいのではないかという気がしないわけでもない。現状 でその必要性がないのであれば特段検討することはないのかも知れないが,今後の将来計画の議論の際にでも参考に して貰えればよい。

分子科学に関する教育,研究を行なっている場所が日本の大学に極めて少ない現状の話(訴え)があったが,そう であるならば由々しき事態であるといわなければならない。皮肉にも,この事実がかえって分子科学研究所の存在す る必要性を高めるのには役にたつのかも知れないが,事はそれほど単純でなかろう。分子科学は物理学と化学に密接 に関連しており,また近年では分子生物学とも密接に関連する境界領域の学問であることは多くの自然科学の研究者 が認めるところであろう。境界領域の学問分野であるが故に分子科学の研究者(研究場所)がわが国に少ない現状の 歴史的な根拠はわからないでもないが,分子科学は一方で自然(物質)科学の根幹を支える学問分野であり,現在わ が国の科学技術基本計画の主要な研究分野であるナノ科学やライフサイエンスなどにも直接関連する重要な学問分野 であることを考えるとこのようなわが国の国立大学の教育研究体制は改善されるべきである。大学と分子科学研究所 の両サイドから真剣な取り組みが待たれる。

b) 研究者の研究活動

「分子研リポート2001,現状・評価・将来計画」に記載されている各研究者の研究活動から見て,各々の分野におい て世界に通ずる研究業績がでていることは間違いない。評価委員会では,個別評価の時間は設けられなかったが,本 リポートでも十分そのことは伺い知れる。勿論,研究には十分ということは存在しないのであるから,更に上,上へ の研究を目指すことは必要であることは言うまでもない。研究所の使命である世界第1線の研究業績をあげるため最 善を期待したい。分子科学研究所(理論系)の特長が明確になっているのかなっていないのか,言い方を変えると,研 究所(理論系)としての先付けの研究目標(ミッション)があって,それに向けての研究なのか,それとも研究者の 個人個人の裁量により方向を決め,結果だけで評価を行なうのか,このいずれであるかが不明である(多分後者であ ると推察するが)。理論系全体についての研究目標もすべきところは明確にする姿勢を期待したい。

c ) 研究所全体について

ポストドクの確保について:国立大学および他の研究機関においてもポストドクの定員が大幅に増えつつある現状を 考えると,今後は優秀なポストドクを確保するための新たな仕掛け(戦略)が必要であろう。それらは,研究条件で あるとか,経済的条件であるとか,が考えられるが,やはり一番の決めては,分子科学研究所の有する研究のポテン シャルの高さを示すことであろう。ポストドクの満了後,望むようなところに就職できる可能性の高いところ(大学, 研究所)に彼らの多くは必ず集まってくる筈である。ポストドク生もちろん日本人に限った話でもない。大いに優秀 な(熱意のある)外国人ポストドクを採用したらよい。

大学院(総研大)生の確保について:ポストドクと同様,国立大学の大学院定員が大学院重点化政策後大幅に増えた

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結果,全国規模で大学院生の確保が難しくなってきている。分子科学研究所においても大学院生の確保については今 後相当厳しいと予想される。ただし,留学生は別であるので,こちらに積極的になるのはよいかも知れない。いずれ にしても,大学院生が学位取得後に研究する場所の問題として,分子科学研究者のニーズを増やす積極的な運動は必 要な気がする。この問題を度外視して安定した研究所の将来像をもつことは不可能な気がする。

d)計算科学研究センターについて

今日,既に,いずれの計算センターにおいても計算機の資源を提供(共同利用)する役割(サービス)が主任務で あった時代から現在大きく変わりつつある。計算センターの役割がハードよりの研究者支援からソフトよりの研究者 支援へ転換する必要がある。このためには,ソフト(プログラム)の移植のみならず,それを使った研究(シミュレー ション研究)をはじめソフトの利用に関する技術支援,また並列計算などの計算機技術支援が必須である。これらの 研究者の確保を強く期待したい。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員C 分子科学研究所理論研究系および岡崎国立共同研究機構計算科学研究センターの教授および助教授の研究に関する 国内評価に参加した印象を述べる。

理論系には中村,谷村,永瀬,岡本,平田,米満の教授・助教授が,センターには岡崎教授がそれぞれ研究グルー プを作って活躍しており,センター助教授は公募中である。研究者(教授・助教授,助手,技官,国内外からの各種 のポストドク,外国人客員教授・研究員,大学院生,その他)の総数は40余名で,これだけの専門の異なる分子科学 理論研究者が数多く集まっている集団は,国内はもとより世界的にも例を見ない。研究のレベルは極めて高い。評価 委員会の議論は中村主幹によって別途まとめられるとのことなので,ここでは私個人のいくつかの提案について述べ たい。

過去の分子科学の歴史からも予想されるように,分子科学における理論の果たす役割は今後益々大きくなるものと 考えられる。世界的にもトップの分子科学の研究所として,早急に分子研の理論研究を一層充実させる必要がある。現 在分子研の理論研究グループの数は全体の約20%程度である。アメリカで研究のアクティビティの高い大学の化学教 室で理論の割合は10−20%であり,質の高い大学ほどこの割合が高いことを考えると,分子科学の専門研究所として の分子研での割合は,現在むしろ低いと言える。今後ますます広がっていく分子科学の多くの領域をカバーするため にも,また重点領域の研究を集中的に推進するためにも,理論研究グループの拡充が望まれる。

これは理論系に限った事ではないが,分子研では研究グループあたりの研究者の数が少なく,それが十分な活動を 妨げている事は従来から指摘されてきた。現在理論研究グループあたり研究者6名と言うのは,以前よりはやや改良 されたとは言えまだ十分ではない。積極的にこれを増やす方策が求められる。その対策の一つとして外国の研究者や 大学院学生を集中的に採用することが考えられる。今や世界的評判の高い分子研に来たいと言うポストドクや院生は 沢山いると思われる。むしろ世界の頭脳を活用して研究を推進すると考えてはどうか? 最近はいろいろな研究費で 外国人ポストドクを雇う事ができるようになったが,これを積極的に活用してほしい。また,研究所としても対策を 考えてほしい。博士課程大学院生に生活可能な給料を出すことは今や世界の常識であり,国内はもとより外国人大学 院生にも当然これが必要である。これも研究所としての対応が欲しい。

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もう一つ,理論研究系と計算科学研究センターで協力して,アジアの各国との積極的な協力体制を作ってみたらど うか。今や,中国,台湾,韓国はもとより,タイ,シンガポールなど多くの国で,分子科学理論研究は年々盛んにな りつつある。世界的にも最も充実した分子研の計算施設と専門能力をアジアの各国に解放して,共同研究者の受け入 れ,ワークショップやシンポジウムの開催,スーパーコンピュータの利用,大学院生の受け入れを行い,いわば“ ア ジア” のセンターとして,アジアでの分子科学理論の発展に寄与してほしい。

計算科学研究センターについては,現在岡崎国立共同研究機構の共通施設となっているが,超大型計算機は分子科 学の最も重要な“ 実験装置” の一つであり,計算科学は分子科学の最も基本的な研究分野である事を考えると,出来 る事なら分子科学研究所に直属した方が好ましいと考えられる。

最後にごく個人的な感想だが,現在分子研理論系で電子状態理論計算(量子化学)のウェイトがやや少ないと思う。 量子化学は分子科学理論の基礎であり,この分野が充実すれば,有機化学,無機化学,触媒化学,材料化学,生物分 子科学など理論研究者の協力を必要としている“ 化学” 全体により大きなインパクトを与えられると期待される。

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4-2 分子構造研究系

国内評価委員会開催日:平成14年11月13日

委 員 永田  敬 (東大院総合文化,教授) 梶本 興亜 (京大院理,教授) 北川 禎三 (分子研,教授) 岡本 裕巳 (分子研,教授) 横山 利彦 (分子研,教授) 森田 紀夫 (分子研,助教授) 加藤 立久 (分子研,助教授)

4-2-1 点検評価国内委員会の報告

所内委員C:法人化に向けて将来計画や法人化中期目標などを外部に示さなければなりません。その作成にあたり点 検評価結果やこの座談会の内容を参考にさせていただきます。分子構造系がどうあるべきか,または,本 日の点検評価インタビューを通して受けた分子構造系の印象をお聞かせください。

所外委員B:研究所として各研究系の特徴を区別して,役割分担などしていますか?

所内委員C:以前には各研究系の区別を明確にして,役割分担をしていました。しかし,最近は研究系の間の垣根は 取り払われる方向です。その傾向は新教授の公募文案にはっきり現われてます。

所外委員B:役割分担をしないことは良いことなのでしょうか? 例えば分子構造系と電子構造系の区別や関係はど のように考えるのでしょうか?

所外委員A:昔の分子構造系は広田先生を代表とする分光学が中心でした。それに比べて現在のメンバーの研究はか なり異なる印象を受けます。しかし,どのグループも分子構造論を基礎として,対象物の特徴的な機能 を引き出したり観測したりしている。そういう意味で分子構造系として違和感はありませんでした。電 子構造系と何処が違うのかな? と疑問に思いますが,異なる研究系と協力関係の下に,研究所全体と して研究が発展すれば研究系の役割分担を区別する必要はないとおもいます。

所内委員C:分子科学自身が変化している現状で,現在の研究系・研究所がその変化にマッチしていますか? 所外委員A:現在の分子科学に研究所がマッチしているかを議論するためには,この研究所の分子科学に対する役割

を考える必要があると思います。

所外委員B:分子研は研究者を育てることが役割だと思います。大学は研究者の卵である学生を育てるように。です から修士課程を持つ必要はないと思います。ポスドク以上の若い研究者を育てるべきです。そのために は,日本国内外の研究者間はもちろん,研究所内の研究者同士のディスカッションが盛んであるべきで す。

所内委員C:最近の大学評価において,それぞれのポジションにとって組織が有効に機能しているかという点を検討 しますが,分子研はいかがでしょうか?

所外委員A:私の大学でも,大学院生にとって大学は有効に機能しているか? という議論をしています。この研究 所の場合は,若い研究者が外へ出てからどのくらい活躍しているかで,研究所が有効に機能したかの証 拠になります。ですから,人事の回転が速いことは大変重要です。

所内委員C:分子研は上へのプロモーションを禁止していることが大変有効に働いています。

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所外委員A:最近分子研の教授の人選が若い層へシフトしています。このような若い教授の方々は,十年の後に新た に外へ出ていかれることを考えてはいかがですか? 分子研で研究者を育てることを経験した後に,大 学へ出て学生を育ててはいかがですか? そうすれば教授人事の流動性も良くなるでしょう?

所内委員C:そのためには教授に任期を付けても良いかもしれませんね。

所外委員B:そうすると,分子研の教授の役割は何ですか? 助教授は研究者として育っていけば良いが,教授には どのような役割があるのでしょうか?

所外委員A:これまで,既にアドミニストレーションの経験の豊富な教授を採用するという人事も行われていますが, これからは2つの種類の教授人事が存在して良いのではないですか? 研究の新領域を開拓するような 若い教授がいても良いと思います。その反対に,アドミニストレーションに特化した教授人事をやって はどうですか?

所内委員C:過去に錯体施設でアドミニストレーションに特化した教授人事をやったことがあります。

所内委員F:今後法人化に向けて,そのようなアドミニストレーションに特化した教授人事が必要になるでしょう? 所外委員A:そのとおりです。

所内委員C:分子研内の研究系のサイズは今のサイエンスにとって適切でしょうか? 例えばバイオ研究にはもっと 大きなサイズが必要ではないでしょうか?

所外委員B:複数の研究グループ間でもっと密接な研究協力・関連を持ってはいかがですか?

所内委員C:そういう意味では,東京工業大学は教授と助教授がお互いに合同のセミナーが開けるくらいの,かなり 密接な関連を持っていますね。

所外委員A:確かに各グループが小さいですね。スタッフを多くすべきですね。その時には10年プロジェクト計画の 下2つ以上のグループの人事をまとめて行い,10年経ったら教授を含めて全員解散するようにしてはい かがですか? 教授の流動性も上がりますよ。

所内委員F:プロジェクト制はこれまでも導入されたことがありますが,「言うは易し行うは難し」です。 所内委員D:そのような流動性を伴った動きを加速するためには,全国的に流動性を上げる必要があります。 所外委員A:その意味で,65歳定年制は流動性を上げると思います。つまり55歳でも教授として採れるわけです。 所内委員C:その他にご意見はありませんか?

所外委員A:ところで,J S Tなど,文部科学省関係以外の外部資金を採る方は多いでしょうか? 所内委員C:それほど多くはありません。

所外委員A:研究所内でグループを作って,科研費Sなどを目指してはいかがですか?

所外委員B:分子スケールナノサイエンスセンターではアプリケーションを志向するのでしょうか? 所内委員C:いえ,基礎研究をすべきです。

所内委員D:やはり基礎研究が基本です。

所外委員B:やはり分子研では基礎研究を目指して欲しいですね。しかし,財源や人事の面で基礎研究を目指しつづ けることは困難を伴います。それを可能にするためには社会や学会に対して強いインパクトを与えてい くことが重要です。

一   同:これから5年間で社会・学会に強いインパクトが与えられるか? 今が正念場でしょう。

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4-3 電子構造研究系

国内評価委員会開催日:平成14年12月9日∼10日

委 員 佐藤 幸紀 (東北大多元物質科学研,教授) 冨宅喜代一 (神戸大院理,教授)

西  信之 (分子研,教授) 藤井 正明 (分子研,教授) オブザーバ 鈴木 俊法 (分子研,助教授)

佃  達哉 (分子研,助教授)

国外評価委員面接日:平成13年12月3日(分子研リポート2001に記載)

委 員 Professor W . C arl L ineburger (J oint Institutes for L aboratory of A strophysics, University of C olorado)

4-3-1 点検評価国内委員会の報告

3年前に行われた点検評価国内委員会において,「大学と研究所そして系という組織」,「研究室の規模」,及び「研 究戦略」の3つの項目について議論がなされ(分子研リポート’ 99),幾つかの問題点が浮き彫りにされた。このよう な問題点の解決のための方策がどのように取られてきたかを本来は検討しなければならないが,今年度の点検評価は, 15年4月に電子状態動力学部門の教授および助教授の同時転出が起こるという,研究所始まって以来の大きな変化を

前にして行われた。また,今年度より,「分子スケールナノサイエンスセンター」に基礎電子化学研究部門の佃助教授 が籍を移し,来年度春に残る専任教官は主幹のみという異常な事態を迎えることになった。このような事態を前にし ての点検評価に内部委員が係わるよりも,今年度は外部委員の評価に徹した方が良いのではないかとの意見が強く,外 部委員による精力的なヒアリングをまる2日にわたって実行してもらい,佐藤委員と冨宅委員より,西,藤井,鈴木, 佃の4教官の研究活動に対する評価,および今後の系,特に電子状態動力学部門でどのような研究を展開すべきかと いう問題への提言を含めた報告書を頂いた。また,所内委員の中から,現在の分子研のグループ規模の最小化に対し て,大きな危惧が示されていることも報告すべきであろう。

4-3-2 国内委員の意見書

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西グループは,溶液の局所構造,溶液における分子会合状態という化学にとって極めて影響力の高い課題に取り組 み,実験手法の斬新さも含めて従来の考え方に変革を迫る新たな仮説を提出してこの分野の研究を先導してきた。こ の研究の評価は,これまでの外部評価委員会で認められてきた通りであり,これまでの高い評価に全く同感である。最 近では,遷移金属と炭素からなる新規の分子性クラスターを合成し,その磁性研究を展開している。クラスターのサ イズが微小化(ナノ構造化)すると単磁区構成体となることを示し,分子磁石の可能性を開くことによって分子科学 とナノ材料科学との結合を意図している。この研究は同グループの研究に新たな戦略性を与えている。

佃グループは,単分子膜で保護された金属クラスターという特異な複合分子系を取り上げ,クラスターの特質に立 脚した新しい機能性複合分子の創出を目指している。サイズをナノスケールで制御した金属クラスターは,バルク金

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属とは全く違った光学的,電気的,化学的性質を示すことが期待され,同グループの磁性分子クラスターの開発と並 んでグループとしての整合性が良く,このような新規ナノスケールクラスターの機能開発研究に大いに期待する。

藤井グループは,水素結合クラスター内での高速水素移動のダイナミクスを調べるために,紫外レーザーと近赤外 レーザーを三段階で照射する高度のレーザー分光技術の適用に努力を重ね,独自のピコ秒時間分解振動分光法を開発 し,水素移動ダイナミクスの新知見を得ている。水素結合系における水素(プロトン)移動は化学において必須な問 題であり,個々の系における詳細な知見の積み重ねは貴重である。この意味から藤井グループの努力に敬意を表する。 同グループが培った高度のレーザー分光技術は,所外との共同研究で進めているレーザー蛍光顕微鏡の開発に進展し ている。この開発は,レーザー分光技術と量子光学技術との結合によって光の回折限界を超える空間分解能をめざす もので,研究の戦略性の視点から今後の進展を興味深く期待する。 

鈴木グループは,自製の画像観測装置を用いて,伝統的な二重微分散乱断面積測定の分野における一つの到達点を 標識した。三体衝突問題という基本問題に取り組んだという点からも,同グループの成果は国際的に非常に高く評価 されている。精緻な実験と精緻な理論計算とのほぼ完全な一致を実証することによって対象系に関する散乱ダイナミ クスに決着をつけたと云える。同グループの研究の完成度は極めて高い。しかしこのように完成度の高い研究の先に はどのような新領域が開かれるかという疑問が残る。とはいえ,問題決着型の研究と領域開発型の研究とは別物であ り,両者の価値を軽々に比較すべきではないであろう。

電子構造研究系では,溶液系から少数多体系にいたる広い対象にわたって研究課題が選択されてきたが,鈴木グルー プを除いて,概ねクラスターの研究が行われてきた。しかし西グル−プが先駆的な研究で世界をリ−ドしてきた溶液 系の研究が,人員の少なさのために新たな展開が図れていないのではないかと気がかりである。クラスターへの偏り を若干修正して,この研究系にはやはり溶液系の研究で斬新な展開を期待したい。また,応用とか基礎とかにこだわ らず,分子の動的過程を「制御」する研究,特に分子内或いは分子間に発生するコヒ−レンス(量子波束)を光位相 で制御する研究は,これからの分子科学に新たな局面を開くと期待される。このような研究は,当該研究系が培って きた高度のレーザー技術を展開するのに相応しい課題ではないかと考える。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員B 電子構造研究系は,電子構造の観点から化学現象を分子論的に解明する研究分野であり,分子科学研究所の創設以 来,実験研究系の主柱の一つとして重要な役割を担ってきており,その存在は国内外に広く認知されている。本研究 系のスタッフは,この分野の最近の重要な研究課題となっている気相分子の反応ダイナミックスや励起分子の緩和過 程,および,分子クラスターやナノクラスターの研究を進める中で,研究会の開催等を通じて本分野における分子研 の役割を充分果たしてきている。最近,電子状態動力学部門で人事異動があり人員構成は変わりつつあるが,研究系 としてこれまで,分子および分子集合体の科学に対する充分な研究体制が敷かれてきた。本研究系の研究グループの 規模は4グループとも所内では小さい範疇に入るが,その活性度は毎年出版されているアニュアルレビューに掲載さ れた原著論文の多さで,充分計り知ることができる。

西グループは,クラスターを中心課題として,溶液化学で重要な液体/溶液の部分構造の研究と新しい機能性金属・ 有機複合クラスターからなる分子磁石の研究を進めている。溶液の構造の研究では,二成分系の混合状態をラマン分 光等の分光法を用いて解析し,部分構造に関するユニークな研究を展開している。また分子磁石の研究では,金属原 子を有機分子に埋め込み,金属原子間のスピン−スピン相互作用を制御することによって強磁性的な機能の発現をさ

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せる試みを進めている。最近,新しい分子磁石化合物である C oC2クラスターの合成に初めて成功し,マトリックス中 で磁石になることを見いだしている。今後,磁気的な性質の発現機構についてさらなる研究の展開に注目したい。

佃グループは,サブナノサイズの金属クラスターの触媒機能の発現機構の解明を目指して,クラスターの精密合成 と評価のための質量分析器の開発に取り組んできた。最近では,チオール化合物に保持された Pd や A u クラスターの 合成を行い,クラスターを取りまく単分子膜の構造特性の研究を活発に進めている。赴任後の研究の立ち上げをほぼ 完了されたようであるが,今後,この分野で国際的な指導性を発揮するために,触媒反応の観点に加え,この種のク ラスターの特長に注目した新しい境界領域を創出されることを望みたい。       

藤井グループは,分子クラスターの未知領域の解明を目指して,化学で重要な反応系の超音速ジェット中での振動 分光の研究を進めている。独自の時間分解振動分光を駆使し,特に,プロトン移動ダイナミックスの理解に大きく寄 与している。また分子科学の技術を巧みに応用した2波長ファーフィールド超解像顕微鏡の開発も進め,原理検証に 成功している。これらの方法をベースした研究が,新しい研究の流れを創出する問題の発掘・提起に繋がっていくこ とを期待したい。

鈴木グループは,化学反応の動力学的解明を目指して,反応の全衝突過程と半衝突過程の両面から独創性の高い研 究を進めている。前者のアプローチでは交差分子線法と画像法を組み合わせた装置を開発し,状態選択した回転非弾 性散乱過程の解明を行っている。また,後者のアプローチでは,化学反応を実時間で観測する目的で,フェムト秒光 電子画像観測装置を開発し,電子位相緩和や回転コヒーレンス等の素過程の究極的な理解に大きく貢献している。今 後は,これらの手法を用いた反応性散乱の研究への発展が期待される。また,ナノスケールの液滴中での反応といっ たより複雑な系への取り組みも進められているが,上記の研究で培われた反応ダイナミックスの視点を踏まえた新し い切り口の研究の展開を期待する。

(この分野の国内,国外での研究分野としての重要度と今後の発展方向)

本研究分野では,基礎と応用の立場から,分子および分子集合体の化学反応をはじめとした種々の物理,化学過程 を研究対象としており,分子科学の基礎研究の中心的な分野となっている。近年のレーザー技術や理論計算法等の研 究手法の進歩とともに,この分野でも実験と理論の協同作業による研究が非常に活発に行われ,比較的簡単な孤立分 子の化学特性の理解と予測が飛躍的に進歩してきている。最近では,非常に精密化したレーザー技術を駆使し,気相 化学反応の量子制御を目指す研究も行われるようになってきている。また研究の視点はより複雑な系へと向けられて きており,クラスター等の分子集合体の表面や内部での化学反応,溶液内での反応ダイナミックス,超微粒子や固体 の表面,界面での反応ダイナミックス等の今後解決すべき重要課題が山積している。他方,最近の生命科学の長足の 進歩により,生命現象の分子レベルでの理解の重要性が非常に高まってきており,分子科学研究者のリーダシップが 不可欠となってきている。むろん,これらの研究課題は従来から取り組まれてきているものであるが,今後は,さら に新しい切り口の発見と新しい研究手法の開発を行いながら理解を一層深めていくことが,本研究分野の主要課題に なると考える。

本研究系の電子状態動力学部門においてスタッフの総移動が予定されており,すでに教授候補者の公募が進められ ている気体反応に関連した分野の他に,もう1人の教授の専攻分野が懸案となっている。人事選考は,本来人物本位 であるべきであるが,研究系の分野のバランスを考慮するとすれば,候補者の分野をある程度特定する必要がある。他 の研究系と電子構造系の他部門の分野を勘案すると,液体中での化学反応の基礎と応用に関連した実験的研究分野が 選択肢の一つとして挙げられる。溶液反応における溶媒和ダイナミックスの理解も今後さらに深化が期待される。ま たポリペプチドやタンパク質の構造,機能に果たす水和の動的役割も発展が期待される研究である。他方,溶液や固

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体表面,界面での単一分子の反応の研究や制御した表面での反応研究も,今後さらに重要な進展が予想され,専攻分 野の議論の対象になると考える。

(研究所への希望)

分子科学研究所は,設立後すでに28年となるが,設立趣旨を充分に全うし,分子科学研究の情報発信の源として国 際的にも広く認知されてきている。また,この間,研究所を巣立った多数の研究者は,非常に多くの大学の基礎研究 の現場において中心的役割を果たしてきている。このような基礎研究のメッカ的な存在は,今後の分子科学研究の発 展と人材育成に不可欠であり,法人化後の分子研においてもその役割は大いに期待されるところである。所外の研究 環境が大きく変遷してきている中で,創造的研究の場としての研究所の求心力をさらに増やせられるかどうかは,先 見性と個性に富み,常に自然の新しい切り口を見出そうとするチャレンジ精神に溢れた人材が集まる場づくりにかかっ ていると思われる。人員増が絡むため困難を伴うと思われるが,所員が研究に集中できるサポート体制の強化にも大 きな努力が必要である。また,研究所の存在感を一層高めるためには,以前から囁かれている所を代表する突出した 研究の育成も,それなりの覚悟はいるが,視野に入れるべきではないかと思われる。所内研究者間の充分な情報交換 と自然発生的でかつ建設的な研究構想の相互批判のもとで,組織化も可能と思われる。研究の発展性と性格に応じて, 研究グループの規模が拡大できるような研究体制の柔軟さも,今後は必要かと思われる。助手,助教授クラスの若手 の優れた研究者が集まってお互いに切磋琢磨し,研究に真の楽しさを見いだす魅力的な研究環境作りを分子科学研究 所に切望する。

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4-4 分子集団研究系

国内評価委員会開催日:平成14年12月17日 委 員 石黒 武彦 (京大理,名誉教授)

小島 憲道 (東大院総合文化,教授) 小林 速男 (分子研,教授)

藥師 久彌 (分子研,教授) オブザ−バ 中村 敏和 (分子研,助教授)

米満 賢治 (分子研,助教授) 井上 克也 (分子研,助教授) 鈴木 敏泰 (分子研,助教授) 国外評価委員面接日:平成15年1月15日∼16日

委 員 Professor Peter D ay (T he R oyal Instituion of Great B ritain)

4-4-1 点検評価国内委員会の報告

前回の例に従い今回の点検評価においても分子集団研究系および分子物性関連分野の研究グループの点検評価を茅 所長の出席の下,上記のように合同で行った。委員会開催以前に,上記の6名の分子研メンバーに加え当日海外出張 で欠席した夛田博一助教授(分子スケールナノサイエンスセンター)の7名に関する過去3年余(1999年以降)の業 績リストと主要論文およびその研究内容についての適当な解説記事等の資料を点検評価委員に送付し,査読して戴い ていたので,当日はこれを踏まえて分子集団および関連分野の活動状況について,評価,議論をしていただいた。 (1)分子物性関連研究グループの評価の概略およびグループ間の協力について

分子研における分子集団および関連分野のグループの研究活動は国際的にも高い評価を受けており,審査対象となっ た7名のメンバーは一人一人独自の興味深い基礎研究を展開している。また,応用的な観点からも注目される研究も 展開されている。この様な概評がなされた後,当日の議論は主に分子物性系の研究グループは将来どの様に研究分野 をリードして行くべきかという観点に集中して展開された。一方,分子研における分子物性関連グループの実績と将 来への可能性に対する期待を反映しているものと思われるが,分子研の分子物性関連分野に関わる最近の変化は際だっ て大きく,前々回の点検評価が行われた1996年の時点では発足していなかった分子物質開発研究センターが1997年に 発足し,今回の点検評価が実施された2002年には発足後5年を経て分子物質開発研究センターは分子スケールナノサ イエンスセンターへと改組発展している状況である。また分子物性関連研究グループのメンバーに関しても,分子物 質開発研究センター・パイ電子開発研究部門の山下敬郎助教授は2000年に東工大教授(大学院総合理工学研究科物質 電子化学専攻)に転出し,同じ2000年に分子集団研究系分子集団動力学部門に着任した夛田博一助教授は分子スケー ルナノサイエンスセンターの発足に伴い,同センター所属となった。この様な分子物性研究系を取り巻く激しい変化 の流れにも関わらず,分子集団研究系および分子物性関連分野の研究グループはこれまで研究会活動などを通して研 究系の枠を越えて緊密に協力してきた。これが今回の点検評価をこれまで同様,分子集団研究系の枠を越えて行って いる理由でもあるが,今後はより活発に具体的な研究を通してグループ間で緊密な協力研究が更に進展することによっ て単一グループでは不可能な研究を遂行する事が望まれている。このためには,将来,分子集団関連グループの行っ ている共同的な研究活動を更に一層押し進め,現在の研究組織の枠を越えて有機的に協力出来る何らかの体制を実現 する事が望まれる。

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(2)分子研に於ける分子物性関係の設備と研究グループのサイズについて

現在,分子スケールナノサイエンスセンターをも含めると非常に多くの分子研のメンバーが分子物質関連分野に関 わるようになっているが,分子研の分子物質研究としてはより基礎的な研究を志向すべきであろう。また,かっての 分子研の機器センターの所有していた物性機器は共同利用機関の物性評価機器としての役割を十分果たしていたので あるが,現在は高性能の物性評価機器が無くなり,殆どの機器が共同利用機関の機器としての役割を果たせていない。 ナノ関連機器として大型の機器の導入の計画が進行中であるが,物理系の共同利用機関とは異なる,分子研としての 求心力のある物性測定機器が何であるかを考え,その導入を図るべきである。

研究グループの規模に関しては,テーマを一つに絞れば,現在のサイズで十分効率よく研究を実施出来る場合もあ り,また,教授のグループと比較的短期間に転出する可能性の高い助教授のグループの間,あるいは理論と実験など の間でも適正規模は自ずから異なるものと思われ一概には言えない。しかし,グループ内の研究者の流動性が大きい 分子研では,少人数で複数の研究課題を実施せざるを得ない事が多いため,研究者の流動によって積み上げた研究課 題を継続できないで中断せざるを得ないと言う深刻な状況も起こりつつある。流動性を保ちつつ研究の継続性を確保 できる事が必要であろう。

(3)研究分野の今後の発展の方向について

分子科学はおしなべて成熟期に入っているように思われ,新たな方向を目指すべきである。研究は成熟期を経由し て初めて次の展開が明らかになると言う側面が強いので,成熟期に入ったと言われ始めた現時点で,今後の展開につ いて直ぐ適切な見通しを得ることは容易ではないと思われるが,ともあれ分子研の様な処で,大きな装置を持って,少 しだけ先を行く仕事を志向すると言うことは望ましいことではない。共同利用機関としての重要な役割として,将来 分子科学がどのような方向に進もうとしているのかを明瞭に提示することが必要である。例えば,分子研の分子スケー ルナノサイエンスセンターの特色として,「分子スケールナノサイエンスセンターでは物質科学に即した研究を行う」 とは言っても,具体的に何をしたいのかが客観的には見えてきていないように思われる。以前,バイオ素子関連のプ ロジェクトが推進された時代があったが,結局はその研究は集積せず,これまでのバイオ素子のプロジェクトは幻想 に終わっている様に思われる。現在のナノテクノロジーにも同様な可能性(危険性)が大きいものと多くの人が感じ ている。この様な状況で,研究分野の新たな方向性を出す事こそ共同利用機関が担うべき事である。そのためには実 績のある研究者が集まっている分子研のような処で研究グループ間で横断的に協力し,研究を推進する事が必要であ ろう。一方,研究の模索期には個人の研究の進展が重要であり,グループが集まったからと言って研究が進むもので はないと言う側面もある。芽が出たところを大きくするような支援体制も同時に必要であろう。研究発表については 個々のグループが沢山の論文を出すことは重要ではない。流行を追うことではなく,大学では出来ないような先端的 な研究をやるべきである。話題になっている分子素子については壁をつき抜けるような仕事をして欲しいが,今後一 山も二山も越えねばならないと思われる状況であり,分子素子に捕らわれる必要はない。また,酸化物などとは異な る分子独自の高次機能が内在されたような分子物質の開発が望まれる。必ずしも結晶の周期構造に捕らわれることな く,生体系から教わることもあるのではないかと思われるし,一方,生体分子機能の研究の立場からは物性科学的な 観点の導入が必要となる課題もあるのではないかと考えられる。

今後の分子研における分子集団関連分野の研究では「分子の視点」を持って新しい分子機能の研究領域を広く開拓 することが出来る様な状況を作り出す事が強く望まれている。

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4-4-2 国内委員の意見書

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員A (1) 今回対象となった分野は分子集団研究系の分子集団動力学部門と物性化学部門,相関領域研究系の相関分子科学第 一部門,理論研究系のうち分子基礎第四部門,及び分子スケールナノサイエンスセンターである。それぞれの研究 グループはサイズ的には小規模であるが精力的に活動し高水準の業績を上げている。まず,分子導体に特徴的なパ イ電子と磁性イオンの相互作用による機能発現を可能とする電荷移動錯体の開発,単分子金属の開発などの,有機 導体研究分野で世界的に高い評価の与えられている成果が挙げられる。また光学的並びに磁気的なスペクトロスコ ピーによって分子性導体の電子構造,電子励起,相転移に関する研究では多様な物質に関する有用なデータが集積 されている。分子磁性体ではキラル分子磁性体が開発され不斉磁気二色性などの特色ある研究が進められ,低次元 金属錯体系にみられる多彩な電子物性の起源を明らかにする理論に関しても精力的に研究がすすめられている。こ れら基礎研究分野に属するものに対し,平成14年度に発足した分子スケールナノサイエンスセンターはまだ助走段 階に過ぎず文字通りナノスケールサイエンスにかかわる研究はこれから着手される段階にあるに過ぎないが,現時 点でなされている,有機半導体電界効果トランジスター,有機 E L 発光素子の研究は産業界における開発研究に寄 与するものであり,すでに企業との共同研究がなされている。分子科学研究所においてかって余り力が入れられて いなかった分野ではないかと思われるが,社会への還元が強く謳われる時代にあっては研究所として抱え置くべき ものとして重要性が高くなっている。また,この分野では炭素共有結合性自己組織化膜,フッ素化デンドリマーの 開発などの基礎研究面でのユニークな成果が挙げられていることも評価に値する。

(2) 分子科学研究所における研究の進め方について考えるとき,教育義務が比較的少なく設備的にはより充実したもの をもって一定の目的意識の下に研究を進める,言わば研究プロ集団として機能することが可能なところとみること ができるとともに,共同利用機関としての貢献が求められる場であること,また内部昇格を認めていない研究の場 であることに留意する必要がある。教育義務が少ないことは学生が少ない分マンパワー的には恵まれない状況にあ るということができるが,研究者自らの考えにもとづく方向に集中することが出来,独自的な研究を指向すること を可能としている。共同研究へのサービスは負担となる可能性はあるが新たな方向に研究を発展させる機会につな げる可能性をもたらすものと捉えることも可能である。こうした中で人事的にも流動性を維持するための努力が重 ねられている。これは所員に限られた期間に高い業績を上げることを迫るものであるが,それが現実のものとなっ ている実績を持っていることは高く評価される。その結果,数多くの有力な研究者を輩出することにつながってい るとともに,分子研に於ける陣容が陳腐化することなく重要な貢献をするレベルを維持することにつながっている。 今後においてもこれを維持してゆくためには研究者の交代に伴い新しくスタートした研究グループにはその研究推 進に必要な設備投資が傾斜的になされ早期に立ち上げることが出来るよう十分な資金的な手当てがなされる必要が ある。(伝統的にこうした配慮はなされているようであるが。)

(3) 一方,分子科学に関する研究を進める使命を持つ研究所として眺めた場合,単なる個々の研究者の集まりといった 構成を超えたものが出されることが期待される。即ち,近接した専門領域の研究者が結集する事によって可能とな る協力相互作用に基づいて,研究面での新しい方向性とでも言うべきものを生み出すことが求められる。このため には各研究者の間の連携が推進されることが望ましい。共同利用に関する要務があることは負担増を求めることに つながるかもしれないが,個々の研究者が業績面での確かな足場を作りつつ,研究者の間で積極的な共同研究が心 がけられることが求められる。こうしたことによって個々の研究者の境界領域に新しい問題がはぐくまれる事にな るのではないか。理論研究の場合であれば分子研内で進められている研究が対象の一つとして取り上げられること

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が望ましい。今後の分子科学に多大な期待が寄せられつつあるものの,あるべき展開の方向を見出すことが求めら れている状況にあると思われるからである。

(4) 例を質・量の両面においてわが国は世界のトップレベルにある有機導電体の研究に取れば,分子研のメンバーはそ の核の一つに位置している。しかし,このような有機導電体の研究はいわば成熟期にある。これは次なる方向が模 索されているときにあることを意味している。特にナノサイエンスが声高に主張され研究の大きな流れが作られよ うとしている現状において分子性導体の研究がどの方向に活路を見出すべきかという問題がある。分子研にはこう した状況の下で将来への展望を拓くことが期待されているように思う。当該分野に今後の発展はあるかと聞かれれ ば,あると答えることになるが,そのためには現在の単純な延長線を超えた新しい方向付けがなされることが肝要 なのであり,分子研こそはそうした取り組みが可能なところではないかと思われ,それがなされることへの期待が 寄せられる。強力な専門家集団を擁する分子研は新しい活路を見出す試みがなされるべき場でもある。

なお,基生研,生理研などと連携し新しい方向を作り出す試みもなされているようであるがそれがより積極的に取 り組まれ,分子科学の活躍する新しい場が創り出されることに繋げられることが望ましい。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員B (1)分子集団関連研究分野での分子研の役割,寄与と位置付け

分子集団関連研究分野において,分子研は主として有機電荷移動錯体の超伝導など電子物性の研究および有機・無 機複合錯体の分子磁性の分野で重要な貢献を果たしてきた。このことは,当該分野の多くの論文,学会発表で共著者 として名を連ねていることからも明らかである。特に分子研で開発された有機無機複合錯体から遷移金属イオンのd電 子と導電性有機分子のπ 電子の相乗効果によって発現する磁場誘起超伝導相が発見されるなど,物性科学への貢献は 高く評価される。また,低温・高圧下ラマン散乱や固体 NMR による有機電荷移動錯体における様々な電子相の研究で は,共同研究の拠点として重要な役割を果たしている。

(2)分子集団関連研究分野での個別評価

小林速男氏は,導電性有機分子と磁性金属錯体による複合錯体から超伝導相と反強磁性相の競合や磁場誘起超伝導 相を発見するなど,d–π電子相互作用によって発現する特異な伝導物性の研究で優れた研究成果をあげている。また単 一分子の集合体による合成金属の開発など,その成果は国内外を問わず高く評価されている。

藥師久彌氏は,様々な有機導体を対象に種々の電子相をラマン分光法で解析し,電荷分離相の発現を微視的に解明 するなど,当該分野に大きな貢献を果たしている。

中村敏和氏は,固体 NMR により有機導体の様々な電子相を微視的に解明しており,当該分野において,固体 NMR による電子相の研究の重要な拠点になりつつある。

米満賢治氏は,有機導体や低次元混合原子価錯体で現れる様々な電子相の出現メカニズムを明らかにしており,理 論面から当該分野に果たしている役割は重要である。また,光誘起相転移など非平衡で現れる特異な現象の解明にも 取り組んでいる。

井上克也氏は,有機ラジカル分子を配位子にした金属錯体を対象に,様々な次元性の新規分子磁性体を開発してき たが,さらに合理的分子設計に基づいたキラル分子磁性体の開発に成功している。この系では,磁性と非線形光学の 相乗効果が期待されており,分子磁性の分野で重要な貢献を果たしている。

鈴木敏泰氏は,多数のフッ素を置換基に持つ様々なフッ素化デンドリマーやフッ素化チオフェンオリゴマーなど独

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自の機能性有機分子を開発し,その有機 E L 素子への応用を積極的に進めている。物質の開発には独創性があり,高く 評価されるものである。

夛田博一氏は,シリコン基盤と末端に2重結合を持つ有機分子との共有結合を制御することにより有機単分子膜の 作製とこれを利用したナノスケールのパターニングの作製に成功しており,その独創性が高く評価される。今後の発 展が期待される。

(3)当該分野の国内,国外での研究分野としての重要度

有機電荷移動錯体を中心とする分子集団系の分野は,1979年に世界で最初の有機超伝導体(T MT S F )2PF6が発見され て以来,様々な電子相が発見されるなど大きな発展を遂げ,物性化学,物性物理学の重要な分野になっている。様々 な新物質開発と多彩な電子相の発見は化学者と物性物理学者を結びつける重要な役割を果たしてきた。

(4)今後この分野の発展はあるか,どのような方向か

有機電荷移動錯体を始めとする分子集団系は,極めて多彩な電子相を内包しており,物性研究の宝庫であることは 間違いない。しかし,有機超伝導発見から20年以上経った現在,単分子の集合体による超伝導相の開発など重要で未 開拓の課題は多くあるが,自然科学者を驚かすような大発見は少ない。言い換えれば,先が読める研究になってきて いる。また,先が読めるため,必ず成果が出るルーチン化した研究になっている傾向が否定できない。また,分子集 団系を対象としている物性化学者の研究の切り口,発想が同じベクトルを向いている現状に危惧を感じる。多彩な研 究の切り口と発想から,新しい萌芽的な研究が出て来ることが切望される。

本分野の発展には,単体や酸化物にはない分子集団系独自の特色を最大限活用することが不可欠であろう。例えば, 異種分子から構成されるヘテロ分子集合体において,それぞれの分子特有の機能性の相乗効果によりヘテロ分子集合 体でしか発揮できない高次機能性,複合物性の開拓がある。分子研で開発された有機無機複合錯体による磁場誘起超 伝導相の発現などはd–π相互作用によって初めて発現する現象であり,単一の分子集団系では現れないものである。ヘ

テロ分子集団系において,独自の機能を持つ異なる部品が集合し全体として高次機能を発現する仕組みは,階層は異 なるが生命システムの高次機能発現に通じるものがある。

(5)分子研の当該分野が今後どのように進むべきか

現在,分子研の分子集団研究系および関連分野は分子集合体の物性化学分野の重要な拠点になっており,全国的な 共同研究が積極的に行われています。しかし,構成単位の研究室の規模は小さく,大学の1研究室との差は殆どあり ません。分子研が重要な拠点になっているのは,分子集団研究系および関連分野の研究者の質の高さに負うところが 多いと思われます。

分子科学研究所における分子集団研究系に期待されることは,この分野の先導的研究の司令塔となることでしょう。 時代の先を読み萌芽的な研究にすばやく対処するため,客員部門を有効に活用し,国内外を問わず優れた若手研究者 を客員部門の研究員として待遇し,先導的研究を開花させる役割があると思われます。次に,開花した段階でプロジェ クト研究として遂行するシステムが必要でしょう。例えば,有機超伝導体研究の発展期に重要な役割を果たした電総 研基礎部門のように。また,研究対象と解析の切り口を広げることも重要と思われます。分子集団研究系の物性化学 が蓄積してきたものは,将来,生命システムを分子集団系のレベルから解明する上で重要になって来るものと思いま す。また,原子・分子を対象としている物理化学部門との横断的研究による分子集団系のフェムト秒光物性の研究な

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ども今後重要な課題になると思われます。

(6)分子研の共同利用機関としての現状と将来への提言

物性科学分野での代表的な共同利用機関として,東大物性研と分子科学研究所があります。物性研の場合,超高圧 や超強磁場など特化した極端条件下での物性測定の共同利用に特色があります。分子研の場合,1980年代には高額な 汎用性の高い機器(例えば X PS など)の共同利用拠点として重要な役割を果たしてきました。しかし,政府による様々 なプロジェクト研究支援などにより多くの大学で高額機器が整うようになった現在,分子研の共同利用の役割は少な くなってきています。現在,分子研における分子集団系部門の役割は,共同利用よりむしろ共同研究の拠点として重 視されており,ここに特色をもたせるべきでしょう。そのためには,(5)で述べましたように,客員研究部門を活用した 求心力のある先導的研究の推進と開花させた研究がプロジェクト研究として推進できる体制が必要と思われます。

(7)分子研に対する建設的批判,提言

分子研の分子集団研究系および関連分野は分子集合体の物性化学分野の重要な拠点になっており,全国的な共同研 究が積極的に行われています。しかし,構成単位の研究室の規模は大学の研究室より小さい位です。

また,大学院生を集めるのに苦労されていると思います。今後の少子化時代を考えますと,この問題は簡単には解 決できない問題です。分子研が組織の上でも世界の拠点になるためには,大学院生の授業料を廃止し R A 制度による給 与の支給など世界に通用する制度,スタッフに優秀な外国人を任用するなど世界の優秀な研究者が充分に活躍しやす い制度を検討されるのも必要かと思います。

4-4-3 国外委員の評価

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 原文 External Appraisal of Research Programmes on Molecular Solids

1. Background

For a number of years now, the Institute for Molecular Sciences has invited a senior scientist from outside Japan to conduct appraisal of the Institute’s research programmes falling within the general field of molecular solids. As the third such reviewer, I was asked to survey activities covering the years 1999–2002. The review was carried out by examining the publications falling within this period, and by personal interviews with seven group leaders in the Departments of Molecular Assembly and Theoretical Studies, and the Molecular Scale Nano-Science Centre. The interviews took place on 15–16 January 2003, when I also had the opportunity of viewing the laboratories. I would like to take this opportunity of thanking Prof. H. Kobayashi and his colleagues for the welcome that they extended to me, and their readiness to make themselves available for interview.

2. Some Quantitative Aspects

Essential background to an evaluation of the quality and significance of the research effort in any laboratory are the data about input, in terms of the numbers of people involved, and output, as measured by the traditional method for communicating results in basic science, namely publications.

The first feature noticed by anyone who comes to IMS is the relatively small number of personnel. Of the seven groups operating

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⑧ Ministry of Statistics and Programme Implementation National Sample Survey Office Government of India, Report No.554 Employment and Unemployment Situation in India NSS 68th ROUND,

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2016.④ Daily News & Analysis "#dnaEdit: Tamil Nadu students' suicide exposes rot in higher

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